さうす・りばてぃー
最初に、自己紹介の時間があった。
俺は出席番号一番なので、最初に順番が回ってくる。
だが、何を言えばよいのか、わからない。立ったまま、少しの間ぼーっとしていると、
「そうだな、名前と趣味、それに何か一言言ってくれればいいよ」
先生が言う。こういうとき、あまり目立ったことを言うべきではない。
変なグループに目をつけられると困る。適当に言って流しておくに限る。
「ええと、名前は安保祐介。趣味は寝ること。特技は、誰とでも漫才ができることです。よろしくお願いします」
なぜだかわからないが、教室内で多少笑いが起きた。どこか笑う部分でもあったのだろうか。
「はい、じゃあ次」
先生が言うと、俺の後ろの男が立つ気配がした。
「岩田知です。趣味は、何もしないこと。特技は適当にやることです。よろしくお願いします」
俺以上にやる気のない挨拶をする男だった。
しかし、教室内の視線は、なぜか俺のときよりも彼に集中していた。ざわめく声も聞こえる。
何か今の発言に、面白いことでもあったのだろうか。俺にだけわからない暗語で話していたとか……。
そんな想像をめぐらしてみたが、馬鹿らしいのでやめにした。
やがて、見由の自己紹介になった。彼女は見た目からして小さいので、注目も集まる。
「仁科見由です。趣味は、読書と散歩です。部活はまだ決めてませんが、いろいろ見て気に入ったところに入りたいと思っています。よろしくお願いします」
独特の甘ったるい声だが、言っていることは俺や後ろの男よりしっかりしている。
さすがに、中身まで子供というのは、多分に色眼鏡の入った見方だったようだ。
やがて、各自の自己紹介が終わり、先生が順に今後の説明を始めた。
中でも俺の気に留まったのは、この一言だった。
「明日は実力テストを行う。40点以下のものは、楽しい追試が待ってるぞ」
うえー、と生徒たちの声が聞こえる。
俺は出席番号一番なので、最初に順番が回ってくる。
だが、何を言えばよいのか、わからない。立ったまま、少しの間ぼーっとしていると、
「そうだな、名前と趣味、それに何か一言言ってくれればいいよ」
先生が言う。こういうとき、あまり目立ったことを言うべきではない。
変なグループに目をつけられると困る。適当に言って流しておくに限る。
「ええと、名前は安保祐介。趣味は寝ること。特技は、誰とでも漫才ができることです。よろしくお願いします」
なぜだかわからないが、教室内で多少笑いが起きた。どこか笑う部分でもあったのだろうか。
「はい、じゃあ次」
先生が言うと、俺の後ろの男が立つ気配がした。
「岩田知です。趣味は、何もしないこと。特技は適当にやることです。よろしくお願いします」
俺以上にやる気のない挨拶をする男だった。
しかし、教室内の視線は、なぜか俺のときよりも彼に集中していた。ざわめく声も聞こえる。
何か今の発言に、面白いことでもあったのだろうか。俺にだけわからない暗語で話していたとか……。
そんな想像をめぐらしてみたが、馬鹿らしいのでやめにした。
やがて、見由の自己紹介になった。彼女は見た目からして小さいので、注目も集まる。
「仁科見由です。趣味は、読書と散歩です。部活はまだ決めてませんが、いろいろ見て気に入ったところに入りたいと思っています。よろしくお願いします」
独特の甘ったるい声だが、言っていることは俺や後ろの男よりしっかりしている。
さすがに、中身まで子供というのは、多分に色眼鏡の入った見方だったようだ。
やがて、各自の自己紹介が終わり、先生が順に今後の説明を始めた。
中でも俺の気に留まったのは、この一言だった。
「明日は実力テストを行う。40点以下のものは、楽しい追試が待ってるぞ」
うえー、と生徒たちの声が聞こえる。