さうす・りばてぃー
 そんな話をしながら、俺たちは明日使うものをショッピングセンターで買っていた。

 ケーキと、小さなクリスマスツリー、それに簡単な飾り付けだ。

 そんなに派手にやっても仕方ないので、俺と見由と穂波で三千円ずつ出し合い、その範囲で買えるだけのものを買ってみた。

 全部買ってもまだお金が余っていたので、さらに飲み物なんかを買う。
 
 それから俺たちはさうす・りばてぃーに帰り、飾り付けを始めた。

 最初は俺の部屋でやろうという話だったが、俺は反対した。

 見由の部屋のほうが、端の部屋で出窓がある分、飾りつけもきれいにできると言って、見由の部屋での開催を主張。

 結果、それが認められ、パーティーは見由の部屋で行われることになった。
 
 部屋の窓に、色付きのシールを張っていく。

 それは、ちょっと見るとステンドグラスみたいに見えた。

 それからツリーを飾り、「merry christmas!」と書かれた横断幕を、部屋にとり付ける。

 そしてシールの星を、あちこちの壁に貼る。

 さらに電球と蛍光灯にまで色つきのシールを貼るという念の入れようだ。
 
 やがてそれが終わると、俺たちは明日を楽しみに、見由の部屋を退出することにした。

「あの、今気づいたんですが」

 見由が去り際に、俺たちに言ってくる。

「私、この状態の部屋で、明日まで過ごさなきゃいけないんですか?」

 その部屋は、電気をつけると色とりどりになって、まるでディスコかキャバクラのようだった。

 俺は見由に聞こえないように、ふっと笑った。

 だまされるほうがバカなのさ、と。

 穂波が「もし居心地悪かったら、私の部屋に来てもいいからね」なんて言っている。

 善人ぶっているが、即答するところを見ると、この女も気づいていたクチだな。

 ――――このアパートに住んでるのは、性悪なやつばかりだ。

< 163 / 194 >

この作品をシェア

pagetop