さうす・りばてぃー
「どうした、知。ついにトップから陥落でもしたか」

 俺は気軽に声をかけた。

 知は掲示から目線を外さぬまま、首を横に振った。

「いや、それはないが。見ろ」

 知は人差し指を前方に突きつける。

 俺はその指の先を見て、教室の外の壁に貼られた掲示にたどり着いた。

 1位 岩田知 785点

 真っ先にその一行が目に入った。

 なんだ、いつもどおりじゃないか。

 次には、2位 畑中真人 725点と書いてある。知らないやつだ。

 1位との差も、だいたい前回と同じくらいだ。べつにさしあたって目新しいところはない。

 なんだというんだ。

 俺は目を左横に走らせた。3位、4位と通過していき、10位のところに仁科見由という名前を見つける。

 見由も、ついにベスト10入りだ。
 
 ん? その間に、何か見知った名がなかったか?
 
 俺は再び視線を右に戻す。

 あった。

7位 品川穂波 706点

「あっ」

 俺は思わず声をあげた。穂波が、ランク外から一気にベスト10入りしていた。

「気づいたか?」

 知の声に、俺はうなずいた。


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