さうす・りばてぃー
「あんなとこで待ってたら、寒かっただろ?」

 歩きながら会話をする。

「ちょっとね。でも、寒いの嫌いじゃないし」

 どうせ待つなら中で待ってればいいのに。

 しかし、制服の上にコートを着て、暖房の効いた室内にいると、逆に暑いのかもしれない。

「さ、今日はいよいよ星空と達也君の運命の日っ」

 手をこすりながら言う穂波。なんだか嬉しそうだ。

「穂波、実はめちゃくちゃ楽しみにしてるだろ?」

「いえいえ、ゆうくんほどじゃないですよ」

 にこにこしながら言う穂波。相変わらず、よくわからん女だ。

「二人がうまくいったら、お祝いしないとね。何がいいかな?」

「うまくいってから考えよう」

 無愛想に俺が言うと、穂波は突然渋面になった。

「何でそういうこと言うかなあ」

「期待しすぎると、たいていうまくいかないんだ、物事ってのは」

「うーん、確かにそれはそうかもね」

 穂波は指を唇に当てている。本当に納得した顔ではない。

 とりあえず話題を変えるのが得策だろう。何かないか。

「あ、そうそう、穂波、テストおめでとう」
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