さうす・りばてぃー
 家に着くと、六時。あたりはもうすっかり暗くなっていた。

 始めるには、いい時間だ。

 結局、星空から連絡はなかった。もしかすると、うまくいったのかもしれない。

「さて」

「それじゃあ、本年の無事を祝って、クリスマスパーティーを」

「はじめるとしますか」

 三人は口々に言う。

 クラッカーが盛大に鳴り、クリスマスパーティーが開始された。

 といっても、最初から飛ばしていくとあとが持たないので、まずは腹ごしらえだ。

 チキンを食べながら、ジュースを飲む。

「それにしても、こういうメンツでクリスマスを迎えることになるとはな」

「不思議なものですね」

 チキンをほおばりながら、見由が言う。

 まったくだ、と俺は思った。

 去年まで、会ったこともなかった者と、そして二度と会うまいと思った者と、こうして同じ時間を過ごしている。

 運命の神様というのは気まぐれに違いない。

「ところで、ケーキはいつ食べるんですか?」

 目を輝かせて聞いてくる見由。そういえば、この子は甘い物好きだった。

「もう少ししてからだ」

「ちぇーっ」
 子供のように、すねる見由。

「もしかしたら、二人来るかもしれないしな」

 俺は一応説明しておく。

 まあ、八時くらいになったら、食べてもいいだろう。それまでは我慢だ。

「そういえば、こないだ学校で……」

「あのときのあいつの顔と言ったら……」

 たわいもない話をしながら、過ぎてゆく時間。

 楽しい時間は、すぐに過ぎてゆく。

 そして、やがて八時になっても、訪問者は誰もいなかった。

 本当にうまくいったのかもしれないな。

「誰も来ないな。よし、ケーキ食うか」

「さんせーい!」

 見由が両手を挙げて笑う。そして、冷蔵庫へと走り、冷やしてあったケーキを持ってきた。


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