さうす・りばてぃー
 それから、二時間。場は、どんどんエキサイトしていった。

「女に胸がなくて、何が悪い!」

 騒いでいるのは、例によって星空。顔はすでに赤い。

「そーだそーだーっ!」

 同調するように両手を挙げたのは、見由。こちらもかなり顔が赤くなっている。

「だいたい男なんて、みんな見る目がないのよっ!」

「その通りですっ!」

 二人して、妙に盛り上がっている。

 達也を見ると、ちょっと気まずそうにしていた。そりゃ、フッたばかりの相手にそんなこといわれりゃ当たり前か。

「もう、今日はどんどんいきますよ!」

 トクトク、と手酌でシャンパンをワイングラスに注いでいる見由。なんだか手元がおぼつかない。

「二人とも、その辺にしといたほうが……」

 注意しようとした穂波は、二人にヤクザのような目つきで睨まれ、一瞬で言葉を失ってしまった。

 逃げるように、俺の隣に来る。

「おい、なんだかやばくないか?」

「星空はともかく、見由ちゃんまで……」

 星空と見由を除く三人は、避難民のように一箇所に固まっていた。


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