さうす・りばてぃー
「せっかくだから、立とうぜ」

 知が言い、俺たち四人はテーブルを囲んで立ち上がった。

「よし、じゃあ達也、乾杯の音頭やれ」

 俺が言った。達也はコホンと咳払いをする。

「では、俺たち六人の友情が、これからも続くことを……」

 なぜか、そこで言葉を区切る達也。

 俺は不審に思いながら達也のほうを見た。

 達也は大きく目を見開き、口を閉じている。

 再び口をあけたが、言葉が出てこない。

「つ、続く……ことを……」

 苦しそうな言葉が、達也の口から出る。

 次の瞬間、達也がよろけはじめた。

 足をよろめかせ、二三歩ダンスしたところで、達也は後ろへと倒れこんだ。

 大きな音が響き、達也の持っていた酒とグラスが地面に落ちる。

「達也っ!」

 俺は思わず叫び、達也に近寄った。達也は目を閉じ、苦しそうな息をしている。

「どうした、達也。達也っ!」

 達也は返事をしない。知が大声で言った。

「品川さん、救急車を!」

「わ、わかった」

 穂波はうろたえながら、電話に手を伸ばした。

 119番を押し、救急車を呼ぶ穂波。

 やがて鳴るサイレンの音。

 駆けつけた救急隊員によって、運び出される達也。

 心配そうな顔でそれを見送る三人。

 先ほどまで平和だった空間は、一気に騒然としだした。

【第七話終 第八話に続く】

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