さうす・りばてぃー
第八話 達也....
 俺たちは、病院へと向かうタクシーに乗っていた。
 後ろに俺と穂波、助手席に知が、それぞれ乗っている。

 緊急事態なので、見由と星空は部屋にそのまま置いてきた。

 書置きを残しておいたから、もし目が覚めたら、俺たちに電話してくるだろう。

「なんだろう。もしかして、急性アルコール中毒とか?」

 不安そうな顔で、穂波が聞いてくる。

「いや、それはないだろう。あいつは倒れる前は一時間以上飲んでなかったはずだし。それに、今日はもともとほとんど飲ん
でなかったしな」

 万一急性アル中だったりしたら、俺たちは全員停学だ。

 悪くすると、退学だってありうる。

 そんな不安が頭をよぎったが、自分で言ったとおり、それはまずないと思う。

 達也は酒は強い。あの程度で倒れるはずはない。

 そうすると、残るは何かの病気か――――。

 タクシーが病院に着くと、俺たちは慌てて病室へ行こうとした。

 しかし、今は深夜。当然、宿直の人に止められる。


 裏口の出入り口近くにある宿直室から顔を出したのは、中年の男性だった。

 白衣を着て、両手をそのポケットに突っ込んでいる。

 この人も医者だろうか。

 とりあえず、達也の事を聞いてみる。

「ああ、あんたたち、さっきの急患の知り合い?」

 その人は逆にそう聞いてきた。俺たちは「はい」と言った。

「それなら、もうすぐ先生が降りてくると思うから、そしたら聞いてみるといい」

 俺たちはそう言われて、宿直室の前で立ち尽くしていた。

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