さうす・りばてぃー
 その人の言葉どおり、達也を診察した先生は、それからまもなく、俺たちのほうにやってきた。

 さっきの人より、若い先生だった。メガネをかけている。

「あの、達也の容態は、どうなんでしょうか?」

 話はさっきの人から聞いていたのかもしれない。その先生はこう言った。

「大したことはないですが、体がだいぶ弱っていますね。朝から熱があったのに、無理するからですよ」

「命に別状とかはないんでしょうか?」

 俺が聞くと、その先生は笑った。

「大丈夫、ただの風邪ですよ。二三日も休めば、よくなるでしょう。さ、今日はもう遅いから、お帰りください。一応大事をとって入院させますが、明日からは普通に面会もできるでしょう」

 先生はそう言ったので、俺たちはそのまま引き取ることになった。
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