さうす・りばてぃー
 次の日。俺は携帯が鳴る音で目を覚ました。

 場所は、もちろん自分の部屋の布団の中。

 昨日寝たのは結局四時過ぎだった。今は昼過ぎくらいだろうか。外はもう明るくなっている。

 そんなことを考えつつ、携帯を手に取る。ディスプレイを見ると、星空だ。

 いやな予感がしたが、とりあえず電話に出る。

「もしもし?」

 寝ぼけた声で言う俺に、いきなり怒鳴り声が返ってきた。

「こらーっ祐介、あんたでしょ、こんなバカなことしたのは!! 朝起きたら見由ちゃんの顔が隣にあって、すごくびっくりしたんだからね!」

 声が大きくて、思わず携帯から耳を離す。

 続けて何かしゃべってるようだが、聞こえないことにする。

 一通り叫び声が終わってから、俺は再び耳を携帯につけた。

「何のことかな」

 冷静に言う俺。

「しらばっくれてもだめよ! 素直に謝りなさい。今ならパンチ一発で許したげる」

「証拠もないのにそんなことを言われるのは迷惑だ」

 プチッ。

 ツーツーツー。

 電話が切れた。というか切った。

 さて、もう一眠り。

 と思ったら、またまた電話がかかってきた。

 しつこいやつだ、と思いながら着信を見ると、今度は「品川穂波」とディスプレイに出ていた。通話ボタンを押す。

「もしもし?」

「あっ、ゆうくん? おはよう」
 間違いなく穂波の声だ。

 星空が穂波の携帯を使って電話をかけてきたのかと思ったが。

「おはよう。ってもう昼だぞ」

「ゆうくんならまだ寝てるかと思って」

 俺の行動を見通してでもいるかのように、あっさりと言ってくる穂波。俺の部屋に盗聴器でも仕掛けてあるのだろうか。


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