さうす・りばてぃー
「それで、どうした?」

「達也君のところに、お見舞いに行かない?」

 携帯を通して聞こえてくる声。確かに、ほっとくというのも達也がかわいそうだな。

「よし、わかった。じゃあ、集合は、一時間後に駅前ということで」

「? そっちに行っちゃだめなの?」

 わざわざ遠まわしなことを言う俺に、穂波は当然聞き返してきた。

「今、外は敵国の兵士に囲まれているんだ」

「言ってることがよくわからないけど……」

「わからなくていい。それじゃ、一時間後。アディオス」

 半ば強引に電話を切る。

 一応、穂波が敵のスパイであることも考慮しておかねばなるまい。

 扉を開けた瞬間に星空三等兵に踏み込まれたりしたら、俺は戦死を覚悟しなければならん。

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