さうす・りばてぃー
 そういうわけで、俺たちはその日、三人で部活回りをしてみた。

 まず最初に訪れたのは、料理部。しかし、そこは女の溜まり場だった。

 12人の部員全員が女のところに、男が入っていっても、歓迎はされるだろうが、すごく居場所が悪そうなので、やめにした。

 見由も、部活としてやるほど料理が好きではないらしい。

 次に行ったのは、知推薦のパソコン部。

 しかし、予想とは違い、ここの部はずいぶんと真面目に活動していた。

 部員全員が一通りプログラミングできるほどの徹底ぶり。

 これではサボる余地はあるまいと、俺たちはそそくさと退散した。

 そして、文芸部。わりと雰囲気はよいし、真面目に活動してるっぽかった。

 見由はいたく気に入ったようだ。俺たちも気に入らないではなかったが、サボりまくるという当初の目的とはズレる気がする。とりあえず保留にした。

 続いて、園芸部。ここは部員が現在三人。しかし、三人とも大忙しだった。なにせ、学園中の植物を世話しているのだ。とてもサボることなどできそうにないと思い、俺たちは園芸部をあとにした。

 さらに、俺推薦の科学研究部。ここは部員が少なくてよかったが、部長がものすごく危ない人だった。

 なんか一人で怪しい研究をしていて、あぶなく俺たちも実験台にされるところだった。他の人たちはいい人たちなんだけど……。

「なんか疲れたな」
 知が言った。

「そろそろ夕方だしな。残る一つはなんだっけ?」

「ええと、美術部ですね」

 見由は手に持ったプリントを見ながら言った。

 彼女は普通に持っていても、俺たちはかがまないとその内容が読めない。

「あ、でも、美術部は部員ゼロです。休部状態ってことですね」

「そか。じゃあ、一通り見終わったってことだな」

「とりあえず、飯でも食わないか? 腹減ったよ」

 知に言われて、初めて気がついた。俺たちは、飯も食べずに部活見学をしていたのだった。
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