さうす・りばてぃー
 それから、俺たちは学食に移動した。

 割とこぎれいなつくりで、白い長テーブルが中央に数列置かれている。

 そのほかに四人席や二人席の丸テーブルがいくつか置かれている。

 全体的に白っぽい印象があった。

 給仕は当然セルフサービスである。

 俺たちは、各自適当なメニューを頼み、席に着く。

「何か気に入った部はあったか?」

「私は、文芸部がよかったと思うんですけど」 

 うどんをすすりながら、見由が言った。

 彼女の身長では、テーブルから顔がようやく出るくらいで、いかにもアンバランスである。

 子供用の椅子でも借りたらいいんじゃないかと思うが、そんなことをすれば彼女のプライドをいたく傷つけてしまうだろう。

 あまり本格的にいじっちゃだめなタイプだと、俺の本能が告げている。

「知は?」

 と、遠慮なく名前で呼ぶ。部活見学をやっている間に、お互い名前で呼ぶということで了承がとれてしまった。

 知は身長175センチで、俺よりわずかに高い程度だ。

 顔はなかなかのもので、充分二枚目で通るだろう。おまけに、こいつはいじっても大丈夫なタイプだと、俺の本能が告げている。

 いじり方を間違えば俺が逆にいじられそうな気もするが。

「俺は美術部だな。休部状態ってことは、なんでもし放題。サボり放題だ。祐介は?」

「そうだなあ……」

 俺はちょっと考えてみた。確かに知のいうことも一理あるが、新しく部を立ち上げるというのは、それなりに大変なのではあるまいか。

 いちおう部で活動とかもしなくちゃいけないだろうし、面倒も多いように思える。

「俺はまだ保留にしとくよ。何か面白い情報が入ってくるかもしれないし」
< 20 / 194 >

この作品をシェア

pagetop