さうす・りばてぃー
「一緒に行くか?」
「うん」
穂波はうなずき、俺たちはショッピングセンターまでの短い道のりを一緒に歩くことになった。
「ちゃんと勉強してる?」
道すがら、穂波が聞いてくる。
彼女はミントグリーンのカットソーに、ベージュのパンツを着ていた。普段着だろうが、なかなか似合っている。
「まあ、ぼちぼちかな」
俺のぼちぼちというのは、してないということだ。
「だめだよ、ちゃんと勉強しないと」
それを見透かしたように、穂波が言う。
「なんて。ほんとは私もしてないんだけどね」
穂波はそう言って、くすっと笑う。
「じゃあ、同類じゃないか」
「そうかも。やっぱり受験直後だし、少しくらい気を抜くのもいいと思うよ」
彼女はそう言って微笑む。
だが、俺は知っている。俺の「してない」と彼女の「してない」は次元が違うことを。きっとこいつは、俺の十倍くらい勉強しているはずだ。
やがて、ショッピングセンターについた俺たちは、必要なものを片っ端から買いあさった。
生活必需品から、身の回り品に至るまで、めぼしいものはどんどんカゴに入れていく。
二人のカゴがそれぞれ一杯になった頃、俺たちは買い物をやめて、レジに向かった。精算を済ませ、荷物を袋に詰める。
「持ってやるよ」
「え、いいよ。自分で持つから」
「遠慮すんな」
俺はひったくるようにして、穂波の買い物袋を手に取った。その瞬間、ずしりと腕に負荷がかかる。
「お米十キロ買ったんだけど……」
穂波は同情するような目で俺を見る。両腕にものすごい重量を感じる。
帰り道、ほとんど俺は話さなかったように思う。両腕にかかる重さで、会話を楽しむどころではなかったのだ。
アパートに着くと、穂波は俺の震える腕から、重い荷物を受け取った。
「今日はありがと。助かったよ」
穂波はにこりと微笑んで、部屋に入っていく。
「な、なあに、気にすんな」
ふらつく足を押さえながら、俺は言った。自分の部屋に入ったとき、俺の腕は完全に麻痺して、胸より高い位置に上がらなくなっていた。
「うん」
穂波はうなずき、俺たちはショッピングセンターまでの短い道のりを一緒に歩くことになった。
「ちゃんと勉強してる?」
道すがら、穂波が聞いてくる。
彼女はミントグリーンのカットソーに、ベージュのパンツを着ていた。普段着だろうが、なかなか似合っている。
「まあ、ぼちぼちかな」
俺のぼちぼちというのは、してないということだ。
「だめだよ、ちゃんと勉強しないと」
それを見透かしたように、穂波が言う。
「なんて。ほんとは私もしてないんだけどね」
穂波はそう言って、くすっと笑う。
「じゃあ、同類じゃないか」
「そうかも。やっぱり受験直後だし、少しくらい気を抜くのもいいと思うよ」
彼女はそう言って微笑む。
だが、俺は知っている。俺の「してない」と彼女の「してない」は次元が違うことを。きっとこいつは、俺の十倍くらい勉強しているはずだ。
やがて、ショッピングセンターについた俺たちは、必要なものを片っ端から買いあさった。
生活必需品から、身の回り品に至るまで、めぼしいものはどんどんカゴに入れていく。
二人のカゴがそれぞれ一杯になった頃、俺たちは買い物をやめて、レジに向かった。精算を済ませ、荷物を袋に詰める。
「持ってやるよ」
「え、いいよ。自分で持つから」
「遠慮すんな」
俺はひったくるようにして、穂波の買い物袋を手に取った。その瞬間、ずしりと腕に負荷がかかる。
「お米十キロ買ったんだけど……」
穂波は同情するような目で俺を見る。両腕にものすごい重量を感じる。
帰り道、ほとんど俺は話さなかったように思う。両腕にかかる重さで、会話を楽しむどころではなかったのだ。
アパートに着くと、穂波は俺の震える腕から、重い荷物を受け取った。
「今日はありがと。助かったよ」
穂波はにこりと微笑んで、部屋に入っていく。
「な、なあに、気にすんな」
ふらつく足を押さえながら、俺は言った。自分の部屋に入ったとき、俺の腕は完全に麻痺して、胸より高い位置に上がらなくなっていた。