さうす・りばてぃー
 達也が全快したのは、それから3日後のことだった。

連休は、何事もなく時間が過ぎていった。

カレンダーの日付は5月4日。ゴールデンウィークは残すところあと二日。

その日の昼、俺は一人でテーブルに向かいながら、主婦のようにテレビを眺めていた。

そんなとき、星空から俺の携帯に着信があった。慌てて、コンポとテレビの音を止める。

「珍しいな」

 俺は電話に出るなり、そう言った。

番号は初めて会った日に教えていたものの、星空が携帯に電話してきたのは、たぶんこれが最初だったように思う。

携帯から、星空の声が聞こえる。

「ねえ、あんた暇でしょ?」

 いきなり失礼なやつだ。

「何で?」

「暇だよね。暇に決まってる。そっか、暇なんだ」

「切るぞ」

 俺がそう言うと、慌てて引き止める声がした。

「わあ、待った待った。ねえ、今日みんなでお泊まり会でもやろうかって話があるんだけど、祐介も来ない?」

 受話器の向こうから聞こえてくる、元気な声。俺は聞き返した。

「どこで?」

「祐介の部屋で」

 星空はあっさりと言った。

「それ、お泊まり会っていうか……」

「細かいことはいいから」

 星空は俺のツッコミをさえぎった。

「他に誰が来るんだ?」

「さうす・りばてぃーのみんな。今のところ、見由ちゃんと知は参加するってさ」

「ふうん。ま、参加してやってもいいぞ」

「やってもって、なんでそんなに偉そうなの?」

「偉いから」

 俺がきっぱりと言うと、なぜか電話の向こうでため息をつく声が聞こえた。

「ま、いいや。あと、達也君にも声かけてみて。六時に祐介の部屋集合ってことで」

「了解」

 俺はそう言って、電話を切った。それから、すぐに達也に電話をかける。達也は参加を了承した。

一応、同じアパートの住人である穂波にも電話をかけてみたが、家の電話は留守電で、携帯は電源が入っていなかった。
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