さうす・りばてぃー
 やがて六時になり、星空たちお泊り会(?)参加者は全員が俺の部屋に集まった。

メンバーは、俺、達也、知、星空、見由と、いずれもさうす・りばてぃーの面々だ。

それから、早速買出しが始まる。スーパーに行って、食べ物やら、飲み物やらを買い込む。

 料理は、作れないこともないだろうが、面倒だという理由で、各自が適当に弁当類を買い込むことになった。

 そして、七時ごろ、俺たちはようやく買い物を終え、部屋へと戻ってきた。

食べ物と飲み物をセットし、狭い部屋の中、五人が円になって固まる。

「かんぱーい」

 五人の声が揃った。各自、手にした缶をぶつけ合う。

「お兄ちゃん、それ、お酒じゃないですか?」

 見由が俺の持っている缶を見て、目を細める。

「いやいや。これは魔法の麦ジュースだよ、見由クン」
 上機嫌に、俺は言った。
「それってお酒……」

 そういった見由の口を、星空の左手がふさいだ。

「まあまあ見由ちゃん、かたいこといわないの。今日は無礼講ってことで」

 そういう星空の手にも、ビールが握られている。

よく見ると、見由以外の四人の手には、すでにビールが握られていた。飲み物については何も話し合っていないが、四人の意思は一致したようだ。

「あー、みんなお酒なんですね?」

 みんなを指差して、見由が声をあげる。彼女一人、炭酸飲料だった。

「そんな風にお酒飲むんだったら……」

 見由は口を尖らせて言ったあと、後ろを振り向いてごそごそとしだす。俺たちは全員、どきりとした。まさか、先生に言いつけるとか言うんじゃないだろうか。

 しかし、見由は再び俺たちのほうを向くと、にこっと笑った。

「私だって飲んじゃいますから」

 見ると、見由の手にもビールが握られている。俺たちは全員、安堵の息をついた。

「なーんだ、見由ちゃん、飲めるんじゃなーい」

 いきなり絡みだす星空。一抹の不安を覚えはしたが、まさか一缶目で酔っ払うということもあるまい。俺は彼女の飲むがままにしておいた。
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