さうす・りばてぃー
 そんな風に会話が進む中、飲み始めてから二時間が経過した。

みんなほどほどに酔いが回ってきている。中でもひどいのは――――。

「祐介ー、飲んでないんじゃなーい?」
 絡んでくる星空。顔が真っ赤になっている。

「いや、飲んでるぞ。もう3缶目だし」

「だーって、顔がまだ赤くなってないよー」

 というか、おまえの顔が真っ赤すぎるんだ、と心の中でツッコミを入れる。

「俺はあんまり顔に出ないんだよ」

 とはいえ、俺も多少酔いが回ってきている。まあ、星空ほどではないと思うが。

「おし、飲め祐介っ!」

 こん、とビール缶を床にたたきつけた奴がいる。見ると、知だった。顔を真っ赤にして、完全に出来上がっている。せっかくの二枚目も、こうなっては形無しだ。

「俺も飲むぞっ!」

 知は、自分の持っているビール缶を、口の上で逆さにした。ぐぴ、ぐぴ、と音がして、ビールが彼ののどに注がれていく。

 すべて飲みきった知は、ぷはーっ、と豪快な息をし、それからぐでんと床に転がった。完全につぶれてしまったらしい。

 さらに少しすると、星空の目がとろんとしてきた。どうも次に危ないのはこいつのようだ。

 酒に弱いというよりは、純粋に飲みすぎか。飲みなれてないくせに一人で4缶も空けるからだ。

「ねー、祐介ー。私、きれいー?」

 星空は満面に笑みを浮かべながら言った。舌が少しもつれている。

「何をいきなり」

「うーん、きれいならきれいって言ってよー」

 星空は妙に上機嫌だ。きれいと言わない限り、いつまでも絡まれそうな気がする。

「きれいだよ」

「わー、嬉しいなー。祐介に、きれいって言われたー」

 星空は宙に向かってバンザイした。その手が下りると同時に、彼女のまぶたも落ちてくる。

「んー……」

 俺にしなだれかかるようにして倒れてくる星空。俺の胸あたりに、星空の頭が当たった。

「お、おい」
 俺はちょっと驚いて、声をあげる。
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