さうす・りばてぃー
「一人暮らしって、思ったより大変だな」

 引越し初日にして、早くも俺はグチをこぼしていた。

 こんな生活を始めるきっかけになったのは、今をさかのぼること半年。

「親父、俺、高校はちょっと離れたところを受けたいんだけど、いいかな」

 親元を離れて暮らしてみたいという思惑を影に潜め、なんとなく言ってみた的な発言だったが、意外にも両親は賛成してくれた。

 というより、「やってみたら?」という感じの答えだった。昔から放任主義なんだ、うちの両親は。

 もちろん俺のことだから、綿密な計画などまったく立てていなかった。

 なるようになるさ主義を貫いてこの地に一人で来てみたものの、俺が暮らす予定のアパートには、当然のことながら家具がない。

 引越しは昨日無事終わったが、俺の部屋には、テレビと布団がかろうじてあるくらいだった。明日はもう高校の入学式だ。

 そこで、今日買出しを行わなければ、今週一週間悲惨な生活を送りそうだったので、こうした行動に出ているわけだ。
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