さうす・りばてぃー
第三話 中間テストと部活
 ゴールデンウィークから半月がたった。五月も半ばとなり、中間テストの時期を迎えた、我らが希望が丘学園。

 翌日からは、いよいよテストが始まる。

 俺は早速、テスト対策を練っていた。

「勉強教えてくれ」

 二時間目が終わったあとの休み時間、俺は知に頼み込んだ。

「教えてやらないでもないが、しかし俺は世界平和について考える時間が必要だ」

 ぬけぬけとほざく知。俺には、やつの意図はすでに見えていた。

「コーヒー一杯でどうだ」

「世界平和をコーヒー一杯と同じに考えてもらっては困るな。スケールが違いすぎる。せめてレストランでおごるくらいのことは必要だ」
 知も譲らない。

「世界平和は地道な一歩からはじめるものだろう?学食一回分だ」

 お互い本音を後回しにし、建前から話す二人。

「やむを得んな。ボランティアも考慮にいれ、そのあたりで手を打とう」

 有意義な話し合いの後、交渉は成立した。

 その日、知の家に上がりこんだ俺は、英語から世界史まで、一通り教えてもらった。

 しかし、有能な選手は必ずしも有能な監督ならず、という言葉の意味を思い知る羽目になってしまった。

 知は、自分のレベルに合わせて話すので、俺には言ってる意味がよくわからないことがたびたびあった。

 教えるのが下手なのか、それともそもそも真面目に教える気がないのかは不明である。

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