さうす・りばてぃー
 かくしてテスト当日を迎えた俺は、知に決闘を申し込んだ。

「このテスト、総合点で負けたほうが、一週間食事をおごるというのはどうだ?」
 
俺が言うと、知は多少驚いた顔をしたが、すぐにもとの顔に戻った。

「ハンデをくれなんていうんじゃないだろうな」

「失礼なことを言うな。俺にハンデなど……ほんの400点でいい」
 俺が言うと、知の顔色が変わった。

「おまえ、何気にものすごく図々しいこと言ってないか? 400点って言ったら、一教科あたり50点だぞ? 俺が満点とっても、おまえが平均50点以上取ったら俺の負けじゃないか」

 俺は机をばんと叩いた。

「何を言うか! 俺が50点以上取る確率のほうが、おまえが満点取る確率より低いに決まってるだろうが!」

「威張って言うことでもないと思うんですが……」
 隣で見由が小さくつぶやいている。

しかし、小市民の声など無視しなくてはなるまい。

「というわけで、決定。健闘を祈る」

 という風に、勝手に話を打ち切った。

 何も言ってこないところを見ると、知も了承したと見ていいのだろう。


 一週間後。そんなこんなで、テストが終了した。

 俺は、テスト期間中の一日平均睡眠時間が三時間という、すばらしい結果に終わった。

 努力が報われるといいのだが。

 もっとも、見由に言わせると、「勉強を普段からやってれば、テスト期間ほど楽なものはないんですよ」とのこと。

確かに、テスト期間中は部活も休みになるし、授業もないし、午前中で終わるし、テストさえなければいいことづくめである。

 実際、テスト期間中に見由と知が、二人で学食でだべっていたのを、俺は何度か目撃している。

 星空とともに、恨めしげな視線をたっぷり送ったが、通じなかったようだ。

< 48 / 194 >

この作品をシェア

pagetop