さうす・りばてぃー
 俺は部室に足を踏み入れた。

 同時に、もわわっとほこりが巻き上がる。

 ところどころに、蜘蛛の巣も見られる。

 この部屋は、三年前に最後の部員が卒業してしまってから、一度も掃除されていなかったという。

 部室自体は、校舎の外にある。

 校舎の脇に立っているプレハブの一室を借りたのが、美術部の部室だ。
 
 こういうと、なんだか美術部だけ差別されているような気がするが、プレハブなのは文芸部も含め、ほとんどの部がそうである。

 学校側に言わせると、「いつ部が増えても対応でき、かつ既存の部と平等な扱いをするために、最初から既存の部も簡単な部室にした」のだそうだが、俺たち生徒はみんな、学校がケチってそうしたのだと決め付けている。

 俺ははたきを手にしながら、部室の入り口に立ち、そのほこりだらけの部屋を眺めた。

「すごいほこりだな」

「ていうか、なんで私手伝わされてるの?」

 ほうきを手に、穂波が文句をつけてくる。

「まあ、いいじゃないか。助け合い運動ってことで」

「まったく。ま、今日は部活休みだからいいけどね」

 腰に手を当て、ため息をつく穂波。

 今日も梅雨どきの雨で、陸上部は休み。

 食堂で偶然彼女と出会ったのを、そのまま連行したのだ。
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