さうす・りばてぃー
 実のところ、星空はスタイルはいい方だ。

 ウエストは細いし、足もすらっとしている。

 ただ、本人は胸がないのを結構気にしているようだ。

 俺の目によればBカップくらいはあると思うのだが。
 
 そして、同じく見由も、

「私も山のほうがいいです」
 と言った。

 こちらも、本当の理由はおそらく星空と同じだと思う。

 こちらは、たぶん俺だけじゃなく、他の誰が見てもAカップだと思うし。

 ただ、さすがに見由にそれを言うほどの勇者にはなりえない。

 黙って山に一票を入れておく。
 
 それから、一応来夢さんも誘ったが、

「ちょっとその日程は都合がつかないの。ごめんね」

 と体よく断られてしまった。

 やはり、一年下の学生ばかり6人と一緒に出かけるのは、躊躇したようだ。

 そして、次の日の昼休み。

 俺は達也を呼び出し、学食で一緒に昼飯を食べていた。

「というわけで、行き先は山に決まった」

「俺の意見は聞いてくれないのか?」
 達也が俺に言う。

「一応、聞いてやろう」

「海」
 と、奴は笑顔で言った。

「では、山に決定」

「おい」
 達也が文句を言う。

 しかし、多数決をとっても、3対1で山(俺も山にした)になる。

 おまけに、女性陣が来ずに俺と達也と知の男三人で海という事態を、あえて招く必要もないだろう。

 もちろん、そんなことは達也もわかっていたと思う。

 今のはほんの冗談だろう。達也もそれ以上は何も言わなかった。

「で、あとはどこに行くかだが」

 俺が言いかけたとき、授業の五分前であることを告げる予鈴が鳴った。

「時間もないし、あとは家に帰ってからにするか」

 俺たちは食器を返却口に下げ、教室へと戻った。

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