さうす・りばてぃー
 俺はそれから、予定通りショッピングセンターに行って、買い物をした。

 帰り道、偶然にも片山達也と出会った。

 短い髪で、がっしりした体格の男だ。奴も俺と同じように買出しに来ていたらしい。

 こいつは中学時代の俺の同級生で、俺と同じ希望が丘学園に通うことになっている。いわゆる悪友というやつか。

 達也はちょっと変わった男で、もともとヤンキーだったのだが、中学三年になるときスッパリ足を洗った。

 三年のときに知り合った俺は、かつての達也を知らないが、知ってるやつによれば、達也は市内でも結構有名なワルだったらしい。
 だが、俺に言わせれば、今の奴は典型的なオタクである。

 趣味はゲーム。特技はゲームの早解き。日本の首都と聞かれれば「秋葉原」と答えそうなこの男が元ヤンキーだとは、どうしても信じられない。

 達也自身、自分でヤンキー時代のことを語ることはないし、まあその噂も話半分だと思っている。

「そう言えば、聞いたか?なんでも、希望が丘学園に、学園始まって以来の天才が入ってくるらしいぞ」

 達也は買い物袋を手に提げながら、言った。俺たちは、アパートへの道のりを並んで歩いていた。

「学園始まって以来の天災なら、俺の隣にいるが」
 俺はサラッと言う。

「いや、冗談ごとじゃなく。入試も満点で、勉強で人に負けたことはないらしい。おまけに、運動もできるらしいぞ。中学時代はサッカーでもかなり名を馳せたらしい」

「ほう。そんなやつが、またなんでうちの高校に?」

「そこまでは知らんが」
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