さうす・りばてぃー
 その目が、謝罪と動揺を如実に訴えている。

「よし、行くぞ」

 俺は全員に対して言ったが、知はあくまで冷静に答えてきた。

「俺は残る」

「なに?」

 その冷たい声に、思わず反発する俺。

 しかし、知は冷静に答えてきた。

「誰かが残ってないと、彼女たちが戻ってきたときにすれ違いになってしまう可能性がある。そうなったら、今度はまた誰かがおまえたちを探しに行かなきゃならない」

 俺の感情は知に反発するが、理性は彼が正しいことを告げていた。

 それに今、知と口論してる時間はなかった。

「よし、じゃあ任せた」

「私も行きます!」

 見由は両手を懸命に伸ばして言った。

 彼女なりに、責任感があるのだろう。しかし――――

「見由は残れ」

 非情な声が、知の口から出る。

「常に動けるようにするには、二人残ってないと意味がない。それに、三人の中では見由が一番体力がなさそうだ。足手まといになる」

 俺たちが言いにくいことを、はっきり口にする知。

 確かにこの男は、なにも自分の安全のために残ると言い出したのではないようだ。

「行くぞ、達也」

 俺は見由が躊躇している間に、雨の中へと駆け出していった。
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