君に許しのキスを
第1章─15歳─

─side凜

遠くから、昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえてくる。

あたしは机に伏せって目を閉じる。


小さな教室内のざわめきやチャイムの音が、すうっと闇に溶けるように遠くなる。



「凜、起きときな。」

近くで落ち着いた高い声が、あたしを呼ぶ。

あたしは小さくため息をついて、目を開けて声の主を見上げた。


「起きてるもん。」

あたしはわざと頬をぷうっと膨らませてみせながら言う。


「次、数学だよ。」

清音(きよね)ちゃんは意地悪そうに笑って見せながら言う。

「しゅーせんせー。」



あたしは清音ちゃんをみて、不機嫌な顔をつくる。


「止めてよ、キモい。」
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