君に許しのキスを
あたしと凜は同じクラスで、同じ演劇部だった。


事件のあった日も、あたしが風邪で部活を休まなければ、あたしと凜は一緒に同じ道を帰るはずだった。


あたしが凜と一緒に帰れば、あんなことは起きなかったかもしれない。


そんなことあるはずないし、そこに強い罪悪感を抱いてる訳じゃない。

それについては、ただなんとなく責任を感じる。
それだけだった。



それに他の友達は、最初のころは凜について変な噂をしていたし、凜が学校に、というか教室に来ないことで、凜のことをだんだんと忘れていった。

凜のことを気にしてあげてるのは、あたしだけだった。


「優しくしてあげている」

そんな優越感もあったのかもしれない。
最初のころは。
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