君に許しのキスを
第10章―夜明け―

―side周

俺はきっと、どうかしてしまったんだ。


そうでなければ、この場にはいられない。

こんな、俺の人生にとって最も不要で、かつ、最も避けるべき事態が起きている、この場に。

そして、そうでなければ、こんな気持ちを抱くはずがない。


彼女に対する認識は『1年5組の村西妃奈』。それで十分だ。
ただそれだけなはずの幼い少女を、自分の学校の生徒を、この胸に抱きしめて、愛しいと思うなんて。


俺はおかしくなってしまったんだ。

だとしたら、いつからだろう。
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