君に許しのキスを
「心配してくれなんて頼んでません。
あたしはその人のことが、嫌いなんです。
お願いだから、出ていってください。」


相変わらずのきっぱりした口調で、彼女は言う。
壁に向かって。


俺はまた腹がたって、
「おい…」
そう言って、顔を覗き込みながら、肩に手をおこうとした。


「…っ…やっ…」

先程の強い口調からは想像も出来ない、か細い悲鳴が聞こえた。
< 107 / 301 >

この作品をシェア

pagetop