君に許しのキスを

―side妃奈

目が覚めると、先生の腕の中だった。

抱きしめられる格好で眠っていたようだ。


見上げると彼もまた、頭を垂れ下げ、眠っている。
その頭が、顔が、あたしのと、ほとんど距離なんてないくらいに近い。


ぼんやりその顔を見ていると、夢の中で彼に「すき」と言ったことが、不意に思い出された。
そのことが急に恥ずかしくなって、彼を起こさないように、彼の身体から離れた。





…あれは…夢…だった、
…よね…?

現実じゃ…ない…よね?
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