君に許しのキスを
「好きですよ。
村西妃奈のことが。」



彼は、どんな顔でこんなことを言っているんだろう。
抱きしめられているから、顔が見れない。
あたしの視界には、彼のくたびれたワイシャツの胸だけ。



彼は今、教師としての、営業用スマイルをしているの?
それとも、冷たい顔?
それとも…。

…駄目だ。
想像出来ない。



見てみたい。
今、彼が、どんな顔をしているのか。



そう思って、きつく抱き寄せられている身体を、そっと離した。
< 117 / 301 >

この作品をシェア

pagetop