君に許しのキスを
ほとんど、悲鳴みたいな声だったと思う。



妃奈ちゃんは何か、多分『やめて』、と言ってるし、

すぐ近くの『倉嶋』さんは、あたしの手を掴み、止めようとしてる。



けれどあたしは、止めることが出来なかった。



だけど自分の中のどこか冷静な部分では、そんなあたし自身を不思議に感じていた。

なんであたしは、こんなにも心が乱されているの?
こんなに怒る必要、ないはずなのに。

それくらいあたしは混乱し、腹がたっていた。
< 129 / 301 >

この作品をシェア

pagetop