君に許しのキスを
彼がいる。


崩れ落ちた状態のあたしの背中を隣で優しく、さすってくれている。



彼の顔を見ると、彼もまっすぐに私の顔を見つめ返した。


強い瞳だった。


すぐに負けそうになる、本当は子供のように弱い私をも、包み込んでくれるような、優しく強い瞳だった。



あたしは彼のシャツの裾をそっと掴んだ。
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