君に許しのキスを
「ついてこないでください。」


あたしは一生懸命に早足で歩く。
彼に追いつかれないように。



けれど、距離は一向に広がらない。
むしろ、あたしのほうが疲れてきて、隣を歩かれる形になってしまった。



「あのさ、説教しにきた訳じゃないから。」


隣で、彼が言う。



あたしは逃げるのを諦めた。



足を止めて、
「あなたと一緒に歩きたくないんです。」
そう地面を睨みつけながら、きっぱりと言った。
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