君に許しのキスを
「じゃあ良いよ。
ただ、お願いだけ、聞いて欲しいんだ。」


そういって、彼はあたしの頭に手を下ろす。


これは、この人の癖なんだろうか。
いつもこうされているような気がする。
あの日、あたしが寝る前も、部屋を連れ出された時も、この人はこうしてきた。


本当は身体に触られるなんて、すごく嫌なことだ。

頭では、嫌だと彼に抗議している。
だけどそれは、何故か声にならない。

そして何故か、この人の大きな手に頭を撫でられると心の奥が落ち着く気がした。




「周と村西さんの話、ちゃんと聞いてやってほしいんだ。」
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