君に許しのキスを
妃奈ちゃんは、いつもあたしの味方でいてくれた、はずだ。

記憶のない中学のころから、きっと。


その妃奈ちゃんが、あたしが大嫌いな人のことを、好きだという。


それが、あたしには裏切りのように思えてしまう。

妃奈ちゃんは、いつもあたしの味方でいてくれなきゃいけないから。

あたしの気持ちを、誰より考えてくれている人だから。

そうでなきゃいけないから。



だけど。
今目を閉じて思い出すのは、あの人の顔と、言葉。



あたしは目を開けると、放り出した鞄から、携帯を取り出した。
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