君に許しのキスを
第18章―原罪―

―side凜

「ねえ清ちゃん。
もしも、大切な人のことを許せなかったら、
どうしたらいいと思う?」


あたしは、昨日の妃奈ちゃんの言葉がずっと気になっていた。


電話を終えて眠る前も、
一夜明けて妃奈ちゃんとこれまで通り登校していても、
そのことばかりを考えていた。


妃奈ちゃんの『罪』って、何?


本当にあたしが許せないようなことなんだろうか。



怖い。

あたしの記憶のないころのことかも知れないから、余計に。



その怖さが抑え切れずに、教室に着いて清音ちゃんを見つけた瞬間、聞いてみた。



清音ちゃんは、大人っぽくて、しっかりした考えを持っている人だから。
だから何か、答えをくれる気がしたんだ。



「…許し?」
< 172 / 301 >

この作品をシェア

pagetop