君に許しのキスを
第21章―逢瀬―

―side妃奈

あたしはただ、凜の恋がうまくいけば良いと、凜の背中を押してあげたいと、思っただけだった。

だから、ダブルデートなんて、本来あたしの柄でもないことを提案したのに。

ただそれだけだったのに。

なのになんで、どうして、こうなるの?



立場上、周が渋るのは、わかっていた。

教師が生徒と、では、もしも知られてしまったら、大変なことになるのは目に見えている。


けれど、周がいなければ、凜とあの人の接点なんてなかったし、
何よりあたしが、周と一緒に出かけたかった、
というところもある。


だからわざわざ、電車を乗り継いで、移動時間も長くかかる、
だけどその分、知り合いに出くわす可能性も限りなく低いであろうこの水族館を、その場所に決めたのに。
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