君に許しのキスを
周があまりに事もなげに言うので、あたしは思わず周を睨みつけた。

それでも周は表情を崩さない。

あたしは腹がたって、泣きたい気持ちだった。



「や、男ふたりで、とか、ないわ。
沓宮さん、良かったら一緒に行かない?」

倉嶋さんはそう言って凜を見つめた。

「えっ…。」


凜は驚いた表情で、あたしの顔をちらりと見る。


「あ、えっと、
…はい。」

凜の言葉には、明らかに戸惑いの色が混じっていた。
あたしは心配になって、
凜の腕を引き、顔を寄せ、耳打ちした。
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