君に許しのキスを
「大丈夫?
無理しなくて良いんだよ?」

そう言ってから、自分のさっきまでの思いと矛盾していることに気付いた。

凜は、あたしの思いを見透かしたように笑った。

「大丈夫。
妃奈ちゃんはイルカショー、行っておいで。
先生とふたりで。」

そう言うと、静かに鞄を手に持ち席を立った。

その姿の向こうには、『タコ焼き』と書かれた旗がたなびいていた。



それを見た倉嶋さんも席を立ち、
「じゃあ後でまた連絡する。」
と、去って行った。

その後ろを、少し不安そうな顔をした凜が付いていく。


その姿を呆然と見送っていると、声がした。


「お前の思惑通り、って感じ?」
< 198 / 301 >

この作品をシェア

pagetop