君に許しのキスを
「…そんなんじゃありません。
それと、『お前』とか呼ぶの、止めてください。」

あたしは何となく、周を見られず、しかも棘のある言い方しか出来なかった。

「別に悪い意味じゃねえよ。」

周の言葉に、そっと顔を向けた。


「校内でキスしたくせに、こんなところでは、何にもしないんですね。」

「あの時は苛立ってたんだよ。
今のお前みたいに。」

周があたしをまっすぐ見て、言う。

あたしが反論しようとすると、手に温もりを感じた。
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