君に許しのキスを
―side凜
「タコって生きてるのを近くで見ると、気持ち悪いよな。」
小さな水槽の中を優雅に泳ぐタコの姿を
かぶりつくように見ながら、あの人が言った。
「自分が見たい、って
言ったんじゃないですか。」
あたしは少し離れて、
隣の水槽を見渡しながら言った。
「まあそうだけど。
世のため人のため、
ってところもある訳ですよ。」
水槽に目をやったまま、彼は答える。
世のため人のため。
つまりは、
妃奈ちゃんと先生のことを言っているんだろう。
「沓宮さんだって、
そのためについて来たんでしょ。」
彼は不意に振り向いて、
あたしの方を見つめる。
小さな水槽の中を優雅に泳ぐタコの姿を
かぶりつくように見ながら、あの人が言った。
「自分が見たい、って
言ったんじゃないですか。」
あたしは少し離れて、
隣の水槽を見渡しながら言った。
「まあそうだけど。
世のため人のため、
ってところもある訳ですよ。」
水槽に目をやったまま、彼は答える。
世のため人のため。
つまりは、
妃奈ちゃんと先生のことを言っているんだろう。
「沓宮さんだって、
そのためについて来たんでしょ。」
彼は不意に振り向いて、
あたしの方を見つめる。