君に許しのキスを
「…凜に、中学の時の記憶がないことは、ご存知ですか。」


彼は、凜が安心できる人でなきゃいけない。

そう思って、倉嶋さんをまっすぐ見て聞いた。


「前に、少し、聞いた。」

倉嶋さんは、あたしにしっかりとした視線を投げ返しながら答えた。

また、本当に言ってしまって良いのか決心がぐらついて、
すがるようにベッドの上の凜を見た。


あの頃の、
中学の頃の、
凜の姿が思い起こされて、
息が苦しくなる。

だから、深呼吸をして、息を吐くのと同時に、言葉を出した。


「凜は、中1の時、
レイプされたんです。」
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