君に許しのキスを

─side周

「ここが…なので…」


教科書にならって、板書しながらつらつらと説明をする。
一通り説明を終えると、教卓の上の名簿へ視線をやる。
それから日にちとかで、適当なやつに当てて、問題を解かせる。


これがいつもの俺の仕事の流れ。


「えーと、今日は8日、8番…」

…くつ…みや…?
変な名前。


そういや今朝、変な生徒が、クツミヤがどうとか、言っていたな…。



…誰だったかな…。
…何て言っていたか…。


ま、俺には関係ない。


「じゃあ、クツミヤ。
問1~3、前出てやって。」


少し間が開いてから、気だるそうな「はい」という声が、窓際の席から聞こえた。
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