君に許しのキスを
―side周
一体、何の因果だと言うのだろう。
何故沓宮が?
記憶については、聞いたことがある。
何か心に強い傷を負うような事件や事故なんかの後に、心身に様々な不調をきたすという『PTSD』ってやつだろう。
その症状のひとつに、それに関する記憶や、その前後の記憶をなくす、ということが起こり得るらしい。
それならば、すべて合点がいく。
俺が必要以上に嫌われていたのも、そのトラウマからくる、一種の回避行動だったのだろう。
だがその要因が、まさか。
妃奈は言い終えてもなお、沓宮を見つめていた。
洋平はうなだれたまま、何も言わない。
それもそうに決まっている。
まさかよりによって。
俺は意を決して口を開いた。
「俺も言わないといけないことがある。
…洋平、良いか?」
何故沓宮が?
記憶については、聞いたことがある。
何か心に強い傷を負うような事件や事故なんかの後に、心身に様々な不調をきたすという『PTSD』ってやつだろう。
その症状のひとつに、それに関する記憶や、その前後の記憶をなくす、ということが起こり得るらしい。
それならば、すべて合点がいく。
俺が必要以上に嫌われていたのも、そのトラウマからくる、一種の回避行動だったのだろう。
だがその要因が、まさか。
妃奈は言い終えてもなお、沓宮を見つめていた。
洋平はうなだれたまま、何も言わない。
それもそうに決まっている。
まさかよりによって。
俺は意を決して口を開いた。
「俺も言わないといけないことがある。
…洋平、良いか?」