君に許しのキスを
奴とは、よくよく考えると高校時代一番仲が良かった。
高校卒業後もたまに会っていた。
世間では、俺達のような間柄を『親友』と呼ぶのかもしれない。


そんな『親友』が事件を起こしたと聞いた時、何故奴の変化に気付いてやれなかったのかと、自分を責めた。

奴のいる拘置所にも幾度か足を運んだ。


そんな折、奴の弁護士から、証言台に立ってくれないかと頼まれた。

情状証人、と言うのだろうか。
奴の人となりなんかを話し、刑を軽くしてもらう、というものらしかった。



しかし、結果から言えば、俺が証言台に立つことはなかった。



それは、俺が曲がりなりにも教師、しかも、女子校の、だからだ。
< 235 / 301 >

この作品をシェア

pagetop