君に許しのキスを
「抱いてほしいの。」

凜は俺の瞳をまっすぐに捕らえ続けている。
俺は視線を外すことは出来ないが、凜の言葉の意味も理解できなかった。

「女の子からこういうこと言うのは、はしたないって、わかってる。
だけどね…」

それでも強い意志を含んだ瞳は、しっかりと俺を捕らえる。

「あなたがあたしのこと、大切にしてくれてるのはわかってる。
だけど、遠慮してるでしょ?
…それともあたし、やっぱり汚い?」

そんなのは誘導尋問だ。

「そう言うんじゃねえだろ。
それより凜が、それで大丈夫なのか?
もっとゆっくりで良いじゃねえか。」

「いつかは越えて行かなくちゃいけないことだと思うから。
洋平と、ずっと一緒にいたいから、尚更。
これを乗り越えなきゃ、あたしたち、前には進めない。
この1ヶ月、ずっと考えて出した結論。
今でも、1ヶ月先でも、1年先でも、何年先でも、きっと同じ。
その時、越えられていなかったら、その時も、きっとダメなの。
早すぎることは、ないよ。きっと。」
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