君に許しのキスを
「しっかりしろ。聞け。」


目の前に周の顔があった。
テーブルを挟んで向こう側にいる周に、肩を強い力で掴まれている。
それでも周は、感情を抑えた穏やかな声で俺に語りかける。

「お前が混乱する気持ちもわかる。
だけど、沓宮の気持ちもわかってやれ。
妃奈も、同じように辛いこと、わかってくれ。
しっかりしろ。」


周は強い瞳で俺を見ている。

「お前は晃祐とは違う。
そんなに弱くないだろ。
逃げるな。」


俺と兄貴は、違う?


「俺と兄貴は同じだよ。
同じ血が流れている。
だから凜を傷つけてしまった。」


「凜は、傷つけられたなんて、思ってないと思います。」
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