君に許しのキスを
あたしの前の机に腰かけていた清音ちゃんは、さっ、とその右隣の机に移っていった。


あたしは、顔を伏せたまま。
扉の方など、見たくもない。


「授業始めます。」

声が聞こえる。
教室内のざわめきがおさまり、それがよく響く。


聞きたくない。
耳を塞ぐ。
気持ち悪い。



はじめてあいつを見たときから、そう。



無性にあいつが、あいつの存在が、気持ち悪い。


大嫌い。
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