君に許しのキスを
生徒がパタパタとその場を去っていくと、土屋がタバコに火をつけ、空を見上げる。


2階の窓からそれを見ていたあたしと、はた、と目が合う。


「…どうかした?
覗きが趣味?」

土屋は冷たい瞳のまま、にっと口角を上げる。

「…タバコ、校内ですよ。」

あたしはあの男に言い負かされそうな気がしたから、教師が校内でタバコを吸っている。

その事実だけを指摘した。



「…ああ、そりゃどうも。」


土屋はそう言って、目を細め、にっこりと笑った。
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