君に許しのキスを
「まあ俺も、無難に生きたいからさ。
大丈夫。あんたが何も言わなければ、問題にはならないよ。」


何それ。
土屋の笑顔を見ていたら、腹がたって、あたしはその場を黙って駆け出した。


何あいつ。
むかつくだけじゃなくて、最低じゃん。
最低最悪の人間。









─ このときはまだ、
彼があたしと同じような、似て非なる十字架を背負っている、
そんなこと知る由もなかった ─。
< 32 / 301 >

この作品をシェア

pagetop